企画の案内にも記していますが、私たちは、日常的な都市生活がどんどん便利かつ窮屈になってきている現状に対して、「自分でやりたいことを選んで実行できる生活文化の醸成」が大切だと考えました。そこで、都市における「公共空間の自由使用」の重要性を見出し、その可能性を広げて自身の生活や活動に還すための企画を立てました。
「規制やルール主導ではない、そこに住まい訪れる人々の野生に基づく、自分たちのための公共空間の自由使用を模索し獲得していく活動」を”PUBLICSHIP”と名づけました。そして、その先駆的実践者から丸1日をかけて彼らなりの"PUBLICSHIP"について知って学び、議論し、実践し、振り返って共有する機会として、東京の吉祥寺からmi-ri meterさん(宮口明子さん、笠置秀紀さん)を講師に迎えました。
mi-ri meterさんはその約20年の活動を通じて一貫して「都市を自分のものとして使う」という視点を持ち続けていて、様々なプロジェクトを実践しているユニットです(月刊事業構想2018年6月号)。近年、実践されている「URBANING_U 都市の学校」という自分自身と都市との距離を近づけるトレーニングプログラムを今回のPUBLICSHIP SCHOOLの趣旨にアレンジしていただく形で、テーマを「都市空間をマーキングし、自分の定点を埋め込む」としてPUBLICSHIP SCHOOL 2018を実施ました。

当日は、大阪市の地下鉄阿波座駅からほど近くの江之子島文化芸術創造センターを拠点にその周辺一帯を活動フィールドとし、「講義」「ディスカッション」「体験」「フィードバック」の順で進行していきました。
まず、「講義」「ディスカッション」では、mi-ri meterさんのこれまでの活動や知見を振り返りつつ、理念や哲学について話を伺いました。自分たちの生活と世の中の大きな動きとのギャップ、同じようなギャップに対して取り組んでいる世界の先例などについて、何かテーマや話題があるのではなく、やや網羅的に話を伺う機会になりました。
「体験」でのテーマは「都市空間をマーキングし、自分の定点を埋め込む」。参加者は、普段歩かない場所や行かない場所に行きながら、自分にとって落ち着ける場所や心地いい場所を勝手に自分の定点として定めます。そして、その定点にじっととどまってみたり、掃除したり、お気に入りのものを置き去ったり、する行為を通じて自分と定点との間の「距離」を認識し始めるころには、それまで何の変哲もなかった「定点」が自分にとって特別な場所になっていることに気づきます。最後の「フィードバック」については、この下のムービーで一部を公開しているので、ご覧いただければと思います。
この時期は酷暑が続いていて、22日(日)当日も最高気温36度で晴天という夏らしい気候の中、時間のうちの半分が屋外での実施でしたが事故もなく終えることができました。
PUBLICSHIP SCHOOLは2019年度にシリーズ化による本格実施を構想しています。今回は、そのプレ企画としてmi-ri meterさんを第一回の講師として実施をしました。これからどんな方を講師として迎えるか、何を学んで何を実践する機会にするかを練り上げていきたいと思っています。
どうぞ楽しみにお待ちください!
PUBLICSHIP SCHOOL 2018
都市空間をマーキングし、自分の定点を埋め込む
当日進行・運営 mi-ri meter(宮口明子、笠置秀紀)
全体企画・制作 末村巧、黒田篤史、中津壮人、笹尾和宏
2018年7月22日(日)10時30分〜19時00分
都市空間をマーキングし、自分の定点を埋め込む
当日進行・運営 mi-ri meter(宮口明子、笠置秀紀)
全体企画・制作 末村巧、黒田篤史、中津壮人、笹尾和宏
2018年7月22日(日)10時30分〜19時00分
2018年08月21日